皆さん「死神」というものを
見たことがあるでしょうか?
「死神」
実は思わぬところにいたりするのです……
あれはまだようやく自転車で
そこそこの距離を走れるようになった頃のこと
その日は少し無理をして
荒川上流の方までロングライドに出かけました。
初めて通る道だったため
少しは迷いましたが
You Tubeである程度道順を覚えてきたので
わりとすんなり走れました。
そしてその帰り、日も傾き始めた時間
眼の前に老人が
わりかし古めのロードバイクに跨がり
向かい風に苦慮しながら帰り道を走っていました。
「これはいけない!」
こんなとき、いささか若い自分が
風よけにならんでなんとする!
さり気なくジェントルマンに
あたかもはじめからそこにいたかのように
じいさんの前にすっと自転車を置きます。
そして優しくエスコート。
いい感じでした。
途中までは……
夕方だったため景色があまり見えなかったとか
そんなことは言い訳にしたくありません。
ただ、気づいたら
変なとこ走ってました。
途中から舗装も終わり、砂利道。
草ぼうぼう
その先はスクラップ工場みたいな
おかしなところに道が続いていて
明らかに来るとき通った道では
ありませんでした。
慌てて自転車を止め、後ろのじいさんに
「ごめん!道間違えちゃった!」(てへぺろ)
そう言おうとした矢先
老人は自分を追い抜き
軽く右手を上げ
その砂利道を進んでいくではありませんか。
「道、そっちじゃないよ!!」
叫びたいのに声が出ません。
仕方なく、自分は来た道を引き返し、
本来のサイクリングロードに戻り
無事家に帰ることができました。
「死神」はその役割りから
忌み嫌われることが多いですが
本来は死者を導く心優しい農夫なのです。
ときに人はその優しさ故に
人を傷つけてしまうことがある
ということを
肝に銘じておきたいものです。
ご老人
この場を借りてお詫びさせていただきます。
「ごめんなさい!!!」